1月20日週の展望【為替編】

ドル円の展望:日銀会合と米政権発足が鍵を握る展開

ドル円相場は、来週の22-23日に予定されている日銀の金融政策決定会合を巡り、大きな値動きが想定されています。昨年12月18-19日の前回会合では、植田日銀総裁が記者会見で「来年の春闘に向けた賃上げの動向や、トランプ次期米政権による追加関税策の詳細について、さらなる情報が必要」と述べたことで、市場では利上げ時期は早くても3月か4月になるとの見方が広がりました。しかし、今年に入り、氷見野日銀副総裁や植田総裁が「利上げの是非について政策委員会で議論し、判断する」と発言したことで、次回会合での利上げ実施の可能性が急速に高まりました。さらに、一部通信社は「日銀は米新政権の影響が限定的であれば利上げに踏み切る可能性が高い」と報じ、利上げ実施の確率は市場で80%以上と見られています。

しかしながら、20日に発足するトランプ米政権の影響を数日で見極められるか、また春闘に関する新たな情報が得られていない点を考慮すると、今回の利上げに踏み切る根拠は薄いとの指摘もあります。直近ではドル円が10日に一時158.87円と昨年7月以来の高値を付け、円安・ドル高が進行していますが、これが利上げの背景とするならば、今後の継続的な利上げは難しいでしょう。その結果、特に海外投資家を中心に仕掛け的な円売りが増加する可能性も否定できません。仮に利上げが実施される場合は、植田総裁の記者会見に市場の注目が集まり、発言内容次第ではさらなる市場変動を招く可能性があります。

米政権発足と米指標の影響
来週は重要な米経済指標の発表が予定されていないほか、FRB高官の発言が制限されるブラックアウト期間に入るため、材料不足が懸念されます。一方で、20日に発足するトランプ米政権は大きな注目を集めています。大統領就任直後に懸念されている追加関税政策に関して、具体的な発言が出るかどうかが焦点となり、市場のリスク要因として注視されています。

ユーロドルの展望:欧州指標とトランプ政権が影響
ユーロドル相場では、トランプ米政権の政策動向が不透明な中、上値の重い展開が予想されます。また、ドイツを中心とする欧州経済の先行きに対する警戒感も根強く、21日には1月の独・ユーロ圏ZEW景況感調査、24日には各国の1月購買担当者景気指数(PMI)の速報値が発表されます。これらの結果次第では、ユーロのさらなる下落につながる可能性があります。

今後の動向としては、日銀会合とトランプ政権の動きが主要な材料となり、ドル円・ユーロドルともに荒い値動きが続くことが予想されます。市場参加者は、それぞれの要因を慎重に見極める必要があるでしょう。